大人の学習法(4)

生き方スキルの習得には試行錯誤(練習回数)が必要

 生き方スキルには、これをやれば「どんな場面でも、だれがやっても正解」というような真実や原則のようなものはなく、個人によって最適なものが変わるのです。ちょうど、好みの音楽や好みの味があるのようなもの。自分に最適なものを見つけるまで、どうしても試行錯誤が必要になります。しかもそれもTPOによっても変わるのです。

それがふつうなのですが、どうしても「正しいやり方」があり、自分はそれを知らないから苦しんでいると考えがちです。そうするといつまでも正しい方法を探し続け、何かを見つけるけれど、それがうまくいかない時、できない自分を責め、すぐにあきらめ、また新しい魔法のツールを求めるというサイクルに陥ってしまいます。

生き方スキルというとイメージしにくいと思いますが、例えばストレス解消法も生き方スキルの一つです。

ある人にとっては、有効なストレス解消法、例えばジョギングも、他の人にとっては苦痛かもしれません。また、ジョギングが好きな人でも、それができない環境では、他の手段で自分のストレス解消を図らなければなりません。

色んな状況に応じてより適応的な対応ができるためには、いくつかのストレス解消法を試して、自分にとってどれが好ましく、どんな効果があり、どんな制約事項(マイナス面)があるかを知っておく必要がります。最初はうまくいかなくても、やっているうちにそのストレス解消法の楽しさを見出すことがあるでしょう。また、その逆もあり得ます。このように自分に合うものを見つけていく過程には、どうしても経験が必要になります。経験とはつまり、実体験か練習の数のことです。

感情のケアの習得も同じです。これをやれば全員にうまくいくという魔法のような方法はありません。講座ではこれまでの私の経験で比較的多くの人に受け入れられている手法を紹介していまずが、それ等を自分で試してみて、自分なりにアレンジしたり、取捨選択しなければならないのです。

例えば怒りのケアの場合、イライラするたびにいろんなことを練習してみます。そのためには、事前に次はこれを試してみようという計画が必要になるのです。そして、それがどれぐらいうまくいったかという評価も欠かせません。

 

この回数をこなすことが、大人の学習法を身に着ける一番のコツだと言えるでしょう。そしてその試行錯誤をサポートしてくれるのが、「サイコーの評価法」なのです。