感情が嫌われる理由

感情は嫌われ者です。それは感情に乗っ取られると、私たちは理性的な行動ができなくなるから。ところが、それだけではないのです。そもそもネガティブ系の感情は苦しいのです。

その苦しさは、どうして生まれるのでしょう。感情は原始時代の危険な環境の中で、ヒトが適応していこうとするときの機能だと考えることができます。例えば恐怖という感情は、私たちの体を逃げられるように、心臓をどきどきさせ、体に力を入れさせます。同時に思考や感覚は、脅威に対して非常に過敏にさせます。そのモードになるから、いち早く逃げられ、命を保てたのです。

さてこの機能は、まず大変エネルギーを使います。私たちはエネルギーを使うことを、これまた原始人的に非常に嫌がる、つまり苦痛と感じるようにできているのです。だから、ネガティブ系の感情を持つと、苦しいのですね。

しかし感情がエネルギーを使うのなら、喜びにも苦痛が伴いそうだが、そうでもない…。(ただ、例えば笑うことをしばらく強要されると、苦しくなります。はやりエネルギー系のフィードバックは存在していると思われます)。

それにしても、ネガティブ系の感情の苦しさは、ポジティブ系と比べ物にならないですよね。それには、2つの理由があります。一つは、イメージと体感に付随する苦しさ。

そもそも恐怖とか怒りとか悲しみは、原始人にある適応行動をとらせるために、イメージと体感を使います。トラに襲われる恐怖は、今にも潜んでいるトラが襲い掛かってくるのではないかというリアルなイメージと、胸や腹が締め付けられ、足が震える感覚から構成される。これが苦しい。

二つ目の理由は、その継続時間。ポジティブ系の感情は、通常危険状態階からの解放を意味します。あまり継続する意味はない。ところがネガティブ系の感情は、原則その状態が改善されるまで、続くべきです。だから、ある行動(回避、対応)をとらせるために、殺される瞬間の苦痛なイメージと苦痛な体感が長く、何度も続くのです。さらにその分、エネルギーの消耗も大きくなり、苦しさが倍増してしまいます。

苦しい感情を、押し殺そうとしても限界があります。エネルギーと体感とイメージと継続時間をうまくコントロールすることが、苦しい感情への対処になります。詳しくは感ケアで体験してみましょう。