マインドフルネスの限界?

マインドフルネスが注目されています。例えば、不安に頭が乗っ取られているとき、何か他のことに集中することで、不安をやり過ごすことができます。集中する対象として、一般的には呼吸が推奨されますが、食べること、音を聞くことなどで、集中のコツを練習することがあります。確かにうつのリハビリの時のトレーニングとしては有効で、私の「プチ認知療法DVD」では、すでに10年前に紹介しているものです。

このようにある「療法」が注目されると、人はそれに対し魔法の薬のような期待を持ってしまいます。その結果、マインドフルネスをやっても、自分の問題が改善しない時、「私のやり方が悪い」「私の努力が足りない」と自分にダメ出しをしてしまうサイクルに陥りがちです。

マインドフルネスは、感ケアの2段階の「忘れる対処」の一つでしかありません。そこだけをいくらトレーニングしても、苦しさ全体が改善しないことがあるのです。ガス欠で止まっている車のタイヤをどんなに補強しても車は動かないのと同じですね。

感ケアでは、こころ全体を見て、どこでケアが滞っているのかを考えます。その人が、3段階の「再考」の部分で止まっている場合は、マインドフルネスで一時的対処して終わるのではなく、7つの視点やモデルの力、不安分析図などで、現実問題と向き合わなければならないこともあります。

個々の「療法」に過度の期待を持つ前に、こころの全体の仕組みを理解しておきたいものです。