ハダカデバネズミの足の引っ張り合い

総合研究大学院大学の研究によると、ハダカデバネズミは階級構造を持つ集団を営む哺乳類ですが、同じ穴で他の個体が仕事をしていると、その足(正確にはしっぽ)を引っ張り、邪魔をして、結局その仕事を独占しようとするらしい…。

そんな「足の引っ張り合い」をすると、集団の作業効率は下がるので、進化生物学的に説明しにくい現象だということです。

下園的思考では、まず単純に、集団としての疲労コントロール機能があるのかも…と感じました。個体が必死に仕事をし続けると過労死する。それを他者が強制的に止めに入るように、そんな本能が仕込まれた。もしそうなら、足の引っ張り合いではなく、援助行為、素敵です。

もう一つ考えたのは、高度な集団ということなので、人間と近い感じで想像すると、仕事が存在意義になっている可能性。この仕事をしているから、集団で重要視されるという構造。これもありえます。この考えは、AIが仕事を奪いつつある現代、仕事にあぶれた人の辛さを想像させます。

ただ、人はおそらくハダカデバネズミより高度です。仕事以外のアイデンティティを見つけていける能力を持っています。社会から与えられた「仕事」だけではなく、自分で自分の活動の意味、生きる意味を見出す力。

シンギュラリティが予想されるのは2045年ごろだとか。すでに個人個人の価値観の変化が問われていると感じます。