感ケアの3つの感想

色んな所で感ケアの概念や訓練をお伝えしていると、その感想は大きく3つに分かれる。一つは、たいへん感動してくれるグループ、心の仕組みがわかり、実施したツールにも実用的だという感想。これが全体の80パーセントぐらい。15パーセントが、感ケアの理論が難しかったという感想。入門講座など、数時間でいろんなエッセンスをお伝えするので無理もない。そして残りの5%ぐらいの方は、「エビデンスがない、理論がない」という感想。最後の5%の方は、ツールの実習の時間も、あえて試してみない方もいる。

 

子どもの心は、自分自身の思考や感じ方ではなく、権威によって「正しさ」を感じる傾向がある。感ケアは、あえてそこにチャレンジし、データや専門家の意見、従来の理論に惑わされず、「自分の感覚」を大切にするというコンセプトで、心の仕組みを説明し、ツールを提示し、段階的に練習をしてもらう。ところが、「子供の心」でこれまでの人生を突き進んできた方には、これまで学んだこともない感ケアの理論は、理論と感じられないし、冒頭で示した「多くの人が感動し、使えると評価している」という現実も、エビデンスとは映らない。実習となると、自分が納得しないものは、味見さえ試みない。

 

実はHPにも記載しているが、感ケアは陸上自衛隊での研究や、東大とのコラボでエビデンスを出している。ただ、この記事を書きながら、私自身がエビデンス重視の態度に疑問を持っているので、いつもは、「私がお伝えすることにはエビデンスはありません」と紹介しがちな自分がいることに、気が付いた。これが私のゴールデンファイル(こだわりの自動思考)のひとつ。

 

しかし、もともと子供の心の強い人には、「感ケアにはエビデンスもあります」と紹介した方が、不必要な拒絶感を惹起しないで済むのだろう。当然そのほうが感ケアを理解してもらうチャンスも広がる。一つ一つが勉強だ。