疲労仮説

私は、うつ状態を3つの段階に分けて説明している。現代人の場合蓄積した疲労が原因でうつになるケースが多いので、蓄積疲労の3段階でもある。

一段階目の疲労は、通常の疲労。2段階目の疲労は、いつもの刺激が2倍つらく感じ、回復までも2倍かかる、別名2倍モード。さらに疲労が深くなると、3倍強く感じ、3倍長引く3倍モードになる。こうなるとうつの自責感、無力感、不安感、負担感という思考感情の偏りも明確になり、本来のその人とは違う印象になるので「別人化」と呼んでいる。

この説明は、カウンセリング現場でもクライアントや周囲の人に本人の状態を大変良く理解してもらえる。

実際、私は人が「ダメな人、嫌な人」になっているとき、その人の性格や能力のせいではなく、まずは疲労が原因だと考えるようにしている。これが疲労仮説だ。

ただ、この仮説を提案すると、「そうなら、その疲労している人を助けるために、自分が我慢しなければならないのか」と負担に感じてしまう人も多いようだ。特に優しい気持ちを持つ女性に多い。

疲労仮説は、単純にその原因を疲労とみなすというだけ。対処は別だ。どういう経緯であれ、自分が攻撃されているときは、きちんとその人の害から身を守るべきである。距離をとるべきだし、時には正当防衛で反撃もありだ。疲労仮説で少しは優しくなってもいいが、だからと言って自分が犠牲になる必要はない。

 

追伸:通常カウンセリングは、守秘義務があるので、クライアントさんの感想を紹介することが難しい。今回、たまたま防衛省のカウンセリング促進の施策として大臣と政務官のカウンセリングさせていただき、お二人の感想がアップされている。

特に松川政務官は、女性らしくフランクにご自分の悩みを話してくださっている。カウンセリングの雰囲気が伝わる動画になっている。